国政報告 / 議事録
外交防衛委員会(2018年11月22日)
2018.10.24~12.10 第197回臨時会
伊波洋一君
沖縄の風の伊波洋一です。防衛省給与法案については、他の給与法と横並びであり、異論はありません。特に、近年頻発する自然災害での自衛隊員の真摯な対応に敬意を表します。
先日の質疑に引き続き、普天間の五年以内運用停止と危険性除去について伺います。この間の会見でも、委員会でも、防衛省から普天間が危険であるという認識が示されました。しかし、具体的にはどのような基準、定義で危険性を判断しているのか、明確な答弁はいただけませんでした。
十一月十六日の衆議院安全保障委員会で岩屋防衛大臣は、普天間の危険性の定義については「基地が危険であるということのその基準とか定義というものがしっかりあるとは思っておりません」と答弁されています。しかし、日本政府も法律による行政の原理に基づいて動いています。主観的、恣意的に危険性を評価するのではなく、法律に定められた具体的な安全基準に照らして、それに満たないから危険だと評価しないことには行政は成り立たないと思います。まして、政府が普天間の運用停止や危険性除去を追求してきたのであれば、米海兵隊、米国政府と議論し、説得を試みてきたはずです。その場合、やはりきちんとした客観的な基準に照らして日米で危険性の認識を共有しなければならなかったはずです。
日本政府として、具体的にどのような法令上の基準に照らして普天間が危険であると定義、判断されているのでしょうか。
防衛大臣(岩屋毅君)
先般の委員会で、基地が危険であるということのその基準とか定義というものはしっかりないのではないかというふうに申し上げました。民間用に供される飛行場と違いまして、軍用に供される空港の場合は、まさに様々な要素が複合的に関係していると思うんですね。どのような軍用機がどのぐらいあってどのような頻度で飛んでいるのかとか、様々な要素があると思いますし、周辺環境がどうなっているのかという観点もあろうかと思います。
確かに言えることは、普天間飛行場、まさに住宅や学校に囲まれ市街地のど真ん中にあると、しかも平成十六年八月には沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故のような非常に危険な事故が起こった。土地利用上の制約とも相まって、周辺の皆様にとって大変大きな負担になっているというふうに認識をしております。
先般も申し上げましたが、私も宜野湾市役所の上から改めて見てみましたが、あれ、先生のときからそうなんでしょうか、飛行場の周りにある学校が赤い印で、点で置かれておりましたが、改めてこれだけ多くの学校に囲まれているのかということを思いました。そういう意味で、この危険性を一日も早く除去していかなければいけないという思いを新たにしたところでございます。
伊波洋一君
危険性について直感的に理解をされているということは今の答弁で分かりますが、その危険性についての定義とか判断の基準というものがあるのでしょうか、それともそれは今ないのでしょうか。
防衛大臣(岩屋毅君)
繰り返しになりますけれども、それぞれの基地の危険性、特に軍用に供されている基地の危険性、まあ自衛隊の基地もそうかもしれませんが、様々な要素が複合的に関係しておりますので、画一的な基準によって判断することは困難ではないかというふうに考えております。
伊波洋一君
この場合、普天間の場合は飛行場として運用されているわけでございまして、先日私が述べたように、米軍基地については、日米地位協定第三条に基づく、日米地位協定に伴う航空特例法により、航空法の滑走路端安全区域などが適用除外されています。一方で、普天間は、米国外の軍事飛行場に適用される米国連邦航空法の、一切の使用が禁じられているクリアゾーン内に住宅地や学校などが存在しており、連邦航空法の安全基準に反します。
普天間基地には国内法の安全基準の適用はなく、米国法の安全基準にも違反をしています。だからこそ、世界一危険な状況があるというふうに私たちは理解をしております。日本政府もこのような認識を持ち、米国と共通認識に立って議論をすべきではないでしょうか。
政府参考人(防衛省 中村吉利君)
お答え申し上げます。委員今御指摘のクリアゾーンに関しましては、米国内の規定に関するものでありますことから、確たることをお答えすることは困難でございます。 しかしながら、いずれにいたしましても、米軍による航空機の運用に当たりましては、公共の安全に妥当な配慮を払うのは当然のことであるというように考えております。
普天間飛行場に関しましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、住宅や学校に囲まれ、市街地のど真ん中に所在をしており、沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故のような万一の航空機事故の危険性への不安というものが、騒音の影響ですとか土地利用の制約と相まって、同飛行場周辺の皆様にとって大きな負担となっているものと認識をしております。アメリカに関しましても、こうした周辺住民の方々に負担を与えているという認識は共有をされているものであると考えております。
防衛省といたしましては、普天間飛行場の一日も早い返還のために移設作業を着実に進めているところでございますが、それまでの間、引き続き米軍と密接に連携を図りながら、安全面に最大限の配慮を求め、地元の皆様に与える影響は最小限にとどまるよう対応してまいりたいと考えているところでございます。
伊波洋一君
防衛省として、普天間の危険性の定義、判断基準、国内外の安全基準に違反しているという認識の有無を答えてください。委員長、これは理事会でのお取り計らいをお願いします。
委員長(渡邉美樹君)
後刻理事会で協議させていただきます。
伊波洋一君
政府は、空中給油機、緊急時着陸、オスプレイの運用などの機能移転や訓練移転などを挙げて、普天間の危険性除去や負担軽減に取り組んでいると言っています。ところが、配付資料、この資料でございますが、安倍政権成立後、総理が沖縄にやれることは全てやると約束した二〇一四年以降も宜野湾市民からの基地騒音の苦情は右肩上がりで、毎年増加の一途をたどっています。今年は半年で三百件以上、この五年で苦情は倍増しています。苦情の増加についてどのように受け止めていますか。
政府参考人(防衛省 中村吉利君)
お答え申し上げます。委員御指摘のとおり、普天間飛行場の周辺住民の方々から宜野湾市に対しまして、航空機騒音等に関する苦情が多々寄せられているということは承知をしているところでございます。こうした航空機の騒音につきましては周辺住民の皆様にとって深刻な問題であると考えておりまして、その軽減を図っていくことは我々にとって大変重要な課題というように認識しております。
このような認識の下、防衛省といたしましては、騒音規制措置の遵守でありますとか、休日や地元の重要な行事に配慮するよう米側に申入れを行ったり、また、普天間飛行場のオスプレイの移転訓練を実施をしたり、さらには、住宅の防音工事を実施するといったことなどにより環境基準が達成された場合と同等の屋内環境を保持する、こういった措置を講じているところでございます。
いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、今後とも、米側に対し、普天間飛行場周辺における騒音の軽減が図られるよう一層の協力を求めるとともに、訓練移転を積み重ねるなど、可能な限り地元の負担軽減に努めてまいりたいと考えております。
伊波洋一君
岩屋大臣には、宜野湾市に寄せられた騒音苦情の最新の部分でも、まあ今年の分が三百件以上ありますけれども、直接目を通してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
防衛大臣(岩屋毅君)
これは直接拝見をしております。
伊波洋一君
ありがとうございます。政府の取組は、普天間の離発着回数、騒音、苦情の件数など、実際の数値として効果が現れているでしょうか。
政府参考人(防衛省 中村吉利君)
お答え申し上げます。先ほども申し上げましたとおり、この普天間飛行場周辺におきます騒音の問題と申しますのは、周辺の皆様にとって大変大きな負担となっているものであるというように認識をしているところでございます。このため、我々としましては、KC130全機の岩国飛行場への移駐ですとかオスプレイの沖縄県外への訓練などを実施をしているところでございます。
政府としましては、こうしたオスプレイの訓練の県外移転によりまして同機が長期間沖縄を離れることとなって、沖縄における駐留及び訓練の時間が削減されることなどによって沖縄の負担軽減に寄与することになるというように考えてございます。
他方で、宜野湾市に対しまして、ここ数年、年間四百件、本年に関しましては十月三十一日までで三百六十二件、こういった苦情が寄せられているということは承知をしているところでございます。この騒音は、繰り返しになりますが、大変深刻な問題であるというように認識をしております。引き続き、訓練移転を積み重ねるですとか米側へ適切に申入れを行うなどにより、可能な限り地元の負担軽減を努めてまいりたいと考えているところでございます。
伊波洋一君
政府の言う危険性除去や負担軽減の取組は、周辺住民の負担感、実感には応えていません。その間も機能移転や訓練移転に多額な税金が使われているにもかかわらずです。
岩国に移転したKC130空中給油機の代わりに、普天間では、嘉手納のジェットエンジンより大きいKC135空中給油機がタッチ・アンド・ゴーを今繰り返しております。皆さんの資料の二枚目にそのKC135の空中給油機の状況がツイッター等で報じられているものを示しております。これは物すごい音がするんですね。このように、実際に皆さんが負担軽減をしているということで、空いた空間、空を大きなジェットの空中給油機が使っている。
また、私、ヒアリングで、このオスプレイの訓練移転という、グアムに一回、国内に四回行っている、皆さんのこの負担軽減措置というものの日程を確認をして、そして調べてみました、この苦情でですね。そうしますと、驚くべきことに何の効果もないんです。なぜならば、例えば、今年の二月、去年の十二月と八月、この三回とも、行っている間にジェット戦闘機が来ているんですよ。ジェット戦闘機が来て、先ほどからジェット機が飛んでうるさいですよと、物すごい、ジェット機の音は今日は特にうるさい、そういうようなことがこの六回とも全部書かれているんです。うるさい、ジェット機が飛ぶなんて、何かあったのかと。それから、この三回ともですね。だから、空いた空を、飛行場をジェット戦闘機が利用している。三機も連続で飛び立つとか、そういうことなんです。それから、残りの二つ、グアムへ行った一回や、あと一回、国内一回はヘリが飛んでいる。ヘリが一生懸命飛んでいる。
どういうことかというと、私も確認をしましたけれども、負担軽減措置は、オスプレイにはしているけれどもヘリにはほとんどしていません。つまり、実際には住民の負担感というのは解消されていないんですよ。そういうものや政策効果も伴わない訓練移転などを莫大なお金を掛けてやっている。やっているにもかかわらず、結果的には何の効果も与えていない。ですから、危険性除去や負担軽減の事業の政策効果については、離発着回数、騒音、苦情の件数など、実際の数値を客観的な指標で判断すべきじゃないでしょうか。お答えください。
政府参考人(防衛省 中村吉利君)
お答え申し上げます。普天間飛行場に外来機が飛来しているということは我々も把握をしているところでございます。一方で、防衛省といたしましては、平成二十九年度から、それまでも実施をしておりました目視調査の対象を拡大をしておりまして、普天間飛行場を離発着をする全ての航空機、この離発着の回数、これを確認をすることを行っているところでございます。こうした努力を通じまして、更なる普天間飛行場使用の実態を把握をしてまいりたいというように考えております。
その上で、防衛省といたしましては、今後とも、米側に対し、航空機の運用に当たり周辺住民の方々に与える影響を最小限にとどめるよう申入れを行うなどしてまいりたいと考えております。
伊波洋一君
全部調査をしていると、二十四時間目視で調査をしていると先日伺いました。でも、それで何も変わっていないんだったら、一体どういうことなんですか。つまり、苦情も聞いていると。でも、結果的に、ジェット戦闘機がオスプレイが移っているときには飛んでくる、そういうことになりますと、何が目的なのか分からないわけですよね。
ですから、こういう意味でも、また場周経路の合意やあるいは九六年に二十二時以降飛ばないという約束、そういう協定が、回答があるわけです。しかし、今年の、一番最近のこの三百六十二件のうち、十時以降の苦情が百五十件入っているんですよ。つまり、十時以降飛ぶから百五十件の苦情が更に増えている。つまり、本来、日米合意を守らせるということがまず基本ではないかと。
ですから、大臣にお伺いしますけれども、現地で防衛局がやっているそうです。でも、そのレベルでは駄目なんですね。だから、やはり再発防止や日米合意の遵守をするためには申入れや抗議のランクを上げるべきです。ですから、そのことを是非やはり防衛省としてやるべきだということを申し上げますが、いかがでしょうか。
防衛大臣(岩屋毅君)
今先生御指摘のあった、日米合同委員会で合意している事項を遵守してもらうためには申入れのレベルをもっと上げるべきではないかということについては、もちろん様々なレベルで累次にわたって我々申入れを行っておりますが、さらに高いレベルでも申入れを行わなければいけないと思っておりまして、私も就任直後にマティス国防長官にもお目にかかってお話をしましたし、マルティネス在日米軍司令官、先般はスミス四軍調整官等にもお目にかかるたびにこの合意の遵守あるいは安全運航ということを申し入れております。
今後も、累次にわたってしっかりと申し上げていきたいというふうに思っております。
伊波洋一君
沖縄には沖縄大使がおります。そういう意味では、河野大臣にお伺いしますけれども、やはり沖縄大使も一緒に米軍に対してはしっかり申入れをする、そういうことで、今の全く変化のない、ますますひどくなっている普天間周辺の危険性やその苦情に対して外務省としても対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
外務大臣(河野太郎君)
防衛省と連携しながら、外務省としてもしかるべく対応してまいりたいと思います。
伊波洋一君
両大臣からこれからの取組については答弁いただきましたので、是非、今までのようでない対応、それを強く求めたいと思います。
さて、普天間第二小学校のことを次お話ししたいと思いますけれども、時間がありませんので、次の質疑にもつないでいきたいと思いますが、今、普天間第二小学校というのは、まさに何もあってはならないところにあるんですね。そこにシェルターを造りました。こういう問題の解決策というのは、私は本当にアメリカの基準からいえばあり得ないと思っています。そのことも含めて、次回にお話をしたいと思います。