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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2020年6月12日)

2020.1.20~6.17第201回常会

伊波洋一君

ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。質問に先立って、沖縄防衛局が辺野古新基地建設工事を本日から再開したことに強く抗議いたします。工事海域では、直近の防衛局調査でジュゴンの鳴き声が二か月続けて確認されており、また、昨年二月の県民投票でも七二%が新基地建設に反対し、六月七日、今月七日の投開票の県議選でも辺野古反対の県議が四十八名中二十九名も当選し、新基地反対の民意が改めて示されました。この民意を踏みにじる工事再開の暴挙には強く抗議いたします。

三条約案については異論ありません。在日米軍基地においては、米軍と日本政府で日本国の主権を侵害する状況がつくり出されています。伊江島補助飛行場における米軍の滑走路改修工事に関連して、前回の委員会では、米軍基地内に適用されるJEGSには沖縄県赤土等流出防止条例が反映されていないことが環境省によって示されました。しかし、外務省は在日米軍基地にも属地的には国内法が適用されていると答弁しており、沖縄県赤土等流出防止条例も属地的には在沖米軍基地に適用されています。

現に、米海兵隊キャンプ・シュワブ内で強行されている辺野古新基地建設工事においては、沖縄防衛局が沖縄県に届出通知をし赤土対策を取るなど、行為主体が防衛局であれば当然赤土等流出防止条例にのっとった対応がされています。

伊江島補助飛行場の工事は辺野古新基地と同じ千六百メートルの滑走路の舗装の工事、改修です。こんな大規模な工事が、行為主体が米軍の場合は何のチェックも環境規制もなく可能になるというのは極めて異常な事態です。

防衛省の工事概要によれば、米軍は、「赤土流出対策として、土嚢及びシルトフェンスが含まれ、降雨によって流出が生じるたびに確認がなされる。部隊はすべての排出点において、定期的に雨水のサンプリングを実施。」と書かれています。しかし、これは、防衛局側が聞き取って作ったものであり、米軍が提出したものではありません。

防衛省提出資料では、五月八日に、伊江村関係者と防衛局職員が立ち入って赤土流出対策を確認したとしていますが、立入り場所は、施工箇所である既存滑走路や道路、既存着陸パッドとは遠く離れた基地ゲートから程近い土砂の集積場です。これで赤土対策を確認したと言えるのでしょうか。

実際に、表土のブルーシートによるカバーや土のう、シルトフェンスなどの赤土流出対策がなされていないような工事風景が、配付資料のように第三海兵後方支援群のツイッターでも公開されております。

防衛省は、土のうやシルトフェンス、雨水のサンプリング調査など、適切に赤土流出対策がなされているということをどのように確認するつもりでしょうか。

政府参考人(防衛省 中村吉利君)

お答え申し上げます。委員御指摘の工事につきましては、本年二月下旬から六月下旬にかけまして実施をされているものでございます。防衛省といたしましては、今般の工事に際しまして、米軍に対し、適切な情報の提供等、周辺の環境への影響や地域の安全などに十分配慮するよう申入れを行っているところでございます。

同時に、委員御指摘のとおり、米軍からは、赤土流出防止対策として土のうやシルトフェンスの設置、定期的な雨水のサンプリングを行うことを含めた工事概要の説明を受け、この旨は伊江村に対して情報提供を行っているところでございます。その上で、五月八日には、防衛省といたしまして、伊江村の関係者とともに飛行場の中に立ち入って現場の確認を行っているところでございます。その際、米側が赤土の流出防止対策といたしまして土のう及びブルーシートによる土壌の保護を行っていることを確認をしているところでございます。

本件工事におきまして、御指摘の赤土流出防止を含めた環境対策が適切に措置されているかにつきましては、今後とも様々な機会を通じて確認をしていくとともに、米側に対しまして引き続き適切に工事を実施するよう求めてまいる所存でございます。

伊波洋一君

日米環境原則に関する共同発表は、二〇〇〇年でありますが、環境に関する関連法令のうちより厳しい基準を選択するとの基本的な考えの下、JEGSは作成される、と明記されています。しかし、実際は、環境省が国の法令に限定されると環境規制を狭く解釈して、県赤土条例の情報提供は拒んでおり、基地内外の環境を守るという日米共同発表やJEGS本来の趣旨が大きく損なわれています。

沖縄県の赤土等流出防止条例は、日本国憲法第九十四条、地方自治法第一条の二、環境基本法第七条や第三十六条に基づくものです。特に、地方公共団体の施策を定めた環境基本法三十六条では、自治体は、国の施策に準じた施策だけでなく、その他、その自治体の区域の自然的、社会的条件に応じた施策を策定、実施すると定めています。

二〇〇八年版のJEGSまでは、要件として、地方自治体の条例は国の法律を実施するものであって、自治体に規制権限を委譲している場合又は地方自治体の規制権限を認めている場合を除き含まれない、と規定しています。つまり、規制権限があれば含まれるということです。

しかし、二〇一〇年版以降は、最新JEGSのC一・四・三と同様に、実施のために県や地方自治体に具体的に委譲されたものを含み、となり、後段が欠けています。自治体独自の環境条例を排除できるかのような規定になっています。これを理由に、環境省は沖縄県赤土条例のJEGSへの反映を拒んでいます。二〇一〇年版以降は、明らかに日本にとっては環境規制権限が狭められ、米軍にとって環境破壊の可能性が広がっています。

日本国の主権の行使として在沖米軍基地に属地的に適用されている国内法には沖縄県赤土条例を含みながら、実際に米軍が執行しているJEGSに反映される国内法には赤土等流出防止条例は含まれないということは、環境保護のための規制権限が後退しているのではありませんか。

政府参考人(環境省 小野洋君)

お答えいたします。まず、環境補足協定第三条の二にございます日本国の基準の解釈といたしましては、我が国の法令及び特定の法令の実施のために当該法令の授権を受けた条例が定める基準を指すというのが日米間の共通の認識でございます。

御指摘の沖縄県の赤土等流出防止条例でございますが、これは特定の国内法令の実施に当たって当該法令の授権を受けた条例というには当たらないということから、同条例が定める措置あるいはその基準についてはJEGSに反映されていないものと承知いたしております。

一方、雨水流出に伴う環境汚染でございますけれども、JEGSの排水等の項目において必要な対策について規制、規定もされておりまして、それらに基づき、在日米軍におきまして環境保全の取組がなされているものと承知いたしております。

伊波洋一君

今、承知していると言いますけれども、実際何を承知しているかというのは明らかではありません。

つまり、本来ならば、赤土等流出防止条例は雨水に対する措置なんです。それならば、その規定の中で、日米が協議をして沖縄地域における赤土の流出による自然破壊をやっぱり社会全体として止めようとしている中、基地内で実際に行われている工事の多くは条例が全部適用されております、ただ、米軍自身がやるときには適用されないという話では、やはりおかしいんですね。

米軍が守るべきJEGSに、本来ならば、その基準に基づいて、当然、環境省が、環境のチームですから、そこからやっぱり実際に実行させる必要があるんじゃないでしょうか。どうお考えですか。

政府参考人(環境省 小野洋君)

赤土の問題を含みます在日米軍に関する環境問題でございますけれども、これについては、日米合同委員会の下に設置されました環境分科委員会などの枠組みなどを活用いたしまして、米側と協議し対処しているところでございます。

環境省といたしましては、関係省庁と連携しつつ、JEGSに基づき米側が環境保護の取組を適切に実施するように働きかけてまいりたいと考えております。

伊波洋一君

それでは、その際に、沖縄県においてこの赤土等流出防止条例が施行されていると、それについては自衛隊も含めて国内の様々全ての事業において守られていると、基地内における工事もそれで規制されているということをしっかりと提起をすべきではありませんか。

政府参考人(環境省 小野洋君)

お答えいたします。先ほど申し上げましたとおり、この条例そのものについては、特定の国内法令の実施に当たって当該法令の授権を受けた条例ではないということから、その措置や基準についてはJEGSに反映すべきものではないというふうに考えております。

伊波洋一君

いや、それはおかしいですよ。そもそも、その規制の中にある話と、具体的に雨水の際のこういう措置というのは基準としてあるんですから。確認はしていませんよね。

しかし、まあほかにもいろいろ聞きますから時間ないけれども、でも、その解釈そのものが私たちは間違っていると思っておりますので、引き続きこの件については話を進めてまいりたいと思います。

先日の米海兵隊普天間基地からの有害物質PFASの流出事故の対応に見られるように、何か突発的な環境破壊につながる事象があれば、その情報を収集し米側に国民の不安を伝えることは日本政府もやっています。補足協定に基づく立入りを実現したことも、これも評価します。また、これまで米軍基地に関して地元住民の自治体からの環境に関する苦情を取り次いできたこともあったでしょう。それでも在日米軍基地は多くの環境問題を引き起こしてきました。

それに対して日本政府は、常々、JEGSに基づいて適切に管理されているものと承知しています、と答弁してきました。米軍基地の環境問題については、平素からの日常的な監視、検証なしには大きな事件、事故の再発は防げません。

配付資料の三枚目の日本環境管理基準にありますように、JEGSはC一・五・一で、少なくとも三年に一回は軍内部の環境監査プログラムを実施することを規定しています。この報告書を検証すれば、JEGSの遵守状況を具体的に把握することができるはずです。

日本政府は、全国の在日米軍基地に関し、平素からJEGSの遵守状況を監視、検証する仕組みはありますか。また、これまで日本政府はC一・五・一にある環境監査プログラムの報告書を入手し、検討したことはありますか。

政府参考人(環境省 小野洋君)

お答えいたします。まず、一番最後のC一・五・一に規定されている環境監査プログラムでございますけれども、これまで環境省といたしましてその実施状況に関する情報を入手したという実績はございません。

仕組みでございますけれども、先ほど来御答弁申し上げておりますが、日米合同委員会の下に設置された環境分科委員会の枠組みなどを活用して米側と協議し対処することで適切な環境保全が図られるものと考えてございます。

伊波洋一君

全く適切ではないんです、いろんな環境の問題が起こっているのが現実ですから。ですから、それは入手してください。是非、それを取り組んでいただくようにお願いします。

また、これまで日本政府は、米軍施設・区域の環境はJEGSに基づいて適切に管理をされていると承知しているとずっとずっと答弁していますが、今言ったように、現状はそうではありません。政府は、特に環境省は、JEGSに基づく環境監査プログラムを入手することはもうこれ必須です。

この中で、皆さんお手元にこのJEGS、一ページ目から四ページ目がありますけれども、いかに厳しくこれを義務付けているかというのがこの黄色いところを読んでいただければ分かると思います。

是非、この当事者であります外務省、大臣の方で、JEGSというこの米軍自身が守るべき課題があって、それも決められている、そのことを厳格に実施させることがとても大切だと思いますが、厳格な運用を強く求めるべきではないでしょうか。答弁お願いします。

外務大臣(茂木敏充君)

大切だと思っておりますし、米側にその遵守を求めていくなど適切に取り組んでいきたいと思います。

伊波洋一君

是非、今要望したことも含めて是非お願いしたいと思います。以上です。終わります。