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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2018年4月5日)

2018.1.22~7.22 第196回常会

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伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。明らかになったイラク日報の隠蔽、「日米の「動的防衛協力」について」という説明資料の改ざんについては、極めて悪質な民主主義と国会に対する背信行為です。実力組織を束ねるシビリアンコントロールの機能不全でもあり、稲田前大臣、小野寺大臣の責任は極めて重いと言わなければなりません。

委員長、改めて、委員会に対して、イラク日報及び「日米の「動的防衛協力」について」という説明資料の全文を開示するよう求めます。取扱いをお願いします。

委員長(三宅伸吾君)

後刻理事会にて協議いたします。

伊波洋一君

安倍政権の下で、財務省の公文書の書換え、改ざんを含め、のり弁とやゆされる墨塗り資料が国会に多く提出されています。防衛省においても、白抜き、切り抜きが常態化しており、本来の資料提供や公文書の情報公開を逸脱しています。そのような観点も含めて、北部訓練場ヘリパッド移設事業について伺います。

先日の当委員会では、河野外務大臣から、米側によるJEGSに関する取組については、これまで継続して実施されてきていると承知している、外務省としては、今後とも、関係省庁と連携しつつ、平成十二年の環境原則に関する共同発表及びJEGSに基づき、米側が環境保護及び安全への取組を適切に実施するよう機会を捉えて働きかけてまいりたいとの答弁をいただき、日本政府は米軍に共同発表やJEGSを守らせる責任があることを確認していただきました。

同じく、前回、防衛省には、私が米国に情報公開請求して開示を受けた在沖海兵隊施設の自然資源・文化資源統合管理計画の参照文献に挙げられた北部訓練場アセス、ドラフトアウトラインが、平成十八年二月付け、那覇防衛施設局作成の「環境影響評価図書案のあらまし」という冊子であろうという確認をいただきました。

防衛大臣に伺います。この間、北部自主アセスについて米側に情報提供した目的、趣旨はどのようなものだったでしょうか。

防衛大臣(小野寺五典君)

北部訓練場のヘリパッドの移設工事については、法的に義務付けられているものではありませんが、自然環境の保全に最大限配慮するとの観点から、自主的な判断により環境影響評価を実施をしております。

委員のお尋ねの「環境影響評価図書案のあらまし」についてですが、環境影響評価図書案は膨大な資料であることから、住民説明会や関係機関、米側との調整などにおける説明資料としてその概要を取りまとめたものであります。米側に対しては、この区域の自然環境の重要性を理解してもらうために環境影響評価の内容について累次の機会に説明をしておりますが、その一環としてこのあらましを使用した説明も行っております。

伊波洋一君

このあらましの冊子について、いつ、誰が、米側の誰に対して提供したのでしょうか。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

委員御指摘の「環境影響評価図書案のあらまし」について、米側にいつこれを渡したかについて、必ずしも全ての米側とのコンタクトを網羅的に把握できているわけではありませんが、少なくとも、平成十七年十月に那覇防衛施設局、これは当時、今の沖縄防衛局でございますが、当時の那覇防衛施設局が在沖海兵隊司令部に説明した上で提供していることを確認いたしております。

伊波洋一君

二〇一六年九月以降、私は当委員会で、米軍北部訓練場ヘリパッド建設の問題、特に自主アセスについてずっと議論をしてきました。しかし、〇六年頃このあらましの冊子を米側に提供したという情報は今回初めて出てきた話です。しかも、私の方で自然資源・文化資源統合管理計画を検討、指摘して初めて防衛省が追認をしたという経緯です。

防衛省には、これまで、過年度調査も含めた北部の自主アセスについて、米側に資料を提供したり説明したりした事実について、いつ、誰が、米側の誰に対して、黒塗りや削除の有無を含めて、どのような資料提供や説明をしてきたのか、時系列に沿った網羅的な説明資料を理事会に提出願いたいと考えますが、委員長、お取り計らいをお願いします。

委員長(三宅伸吾君)

理事会にて後刻協議いたします。

伊波洋一君

皆さんのお手元に資料を届けてございますが、このあらましの八ページ、ヘリコプター着陸帯移設の事業実施区域の選定過程には、N1、N4、G、H地区が選ばれている流れが示されています。お手元の資料のように、まず最初に、「事業実施区域選定の基本方針」として、「ヤンバルの自然保護の観点からも一体の環境域として保全・保護する必要がある区域は、極力、新たな施設の建設は避ける。」としました。第二に、「ノグチゲラなどの特に注目すべき種の重要な生息地の保全に最大限配慮を行う」と記述しています。

そして、選定されるまでの過程の中で、一で当初候補地、過年度調査地区が示されます。これはそれ以前に、二〇〇〇年以前に選定されたものですけれども、調査の結果、この当初候補地は、全体で千八百四十九種の動植物、うち百四十五種が希少種と判明しています。その中に、当初から米軍が言っているG地区、H地区が入っていることが分かります。

二番目に、「過年度調査の結果、貴重な動植物が多数確認されたことから、より環境に影響が少ない着陸帯移設地があるか調査するために、新たな六地区(八ケ所)を抽出」しています。防衛大臣も見ていただきたいと思います。「「自然度の総合評価」と「生息環境等の保全」を基に選定し、自然度ランクⅠを全て除外、ランクⅡも可能な限り除外。」と記述して生息環境等の保全を強調していますが、しかし、これはあくまで追加候補地に、八か所に関しての中でのことです。

三番目に、「過年度調査及び継続環境調査対象の十一地区の調査結果を踏まえ、自然度が高く生態系への影響が他の地区に比較して大きいK地区及びJ地区を除外し、」九地区を選定します。その中でもG地区、H地区が残っています。

四番目に、「最終的に残った九地区から自然度の豊かなN5地区、風衝植生が発達したI地区、米軍との調整によりN2、N3及びN6地区を除外」します。さらに、米軍との協議の結果、七か所の移設を四地区六か所にしていきます。そして、最終的にはG地区、H地区が残ります。

次の裏の方のページ、資料を見ていただきたいんですけれども、これもあらましにありますが、最終的に残ったこのG地区、H地区に幾らあったかというと、当初が千八百四十九種の動植物、百四十五種が希少種、固有種が二十種ですが、残ったG地区、H地区には千九百四十一種、希少種が百七十三、固有種が十九もあるんですね。実は、G地区、H地区は最初から希少種が集中した地区でありました。しかし、それが最終的に最後まで残るような選定が結果的に行われている。それがあたかも、あのものを読む限り、環境には配慮をしたという表現を取りながらです。

しかし、結論として、この下の、下段にあります移設候補地の選定経過です。その中で最終的に何が書かれているかというと、防衛省のアセスは、米軍の運用上の要望や米軍の運用上、必ず必要との強い要望を理由として、N1、N4、G、Hが選定されています。これは、明らかに、これまで私がこの委員会で提起してきました日米間の合意、環境原則の共同発表の合意や、在日米軍に適用されている、要するに希少種の、絶滅危惧種の生息域を守る義務、これに反しているんですね。だから、JEGS十三章の三の保護種の生息域保護の規定に反したまま、米軍の要望によってこの選定が行われたということをアセスはきちんと示しています。しかし、私たちは、そのことが一体どれだけ米軍に、明らかにされてきたのかということをこの委員会で私は明らかにしたいと思うんです。

次の資料は、鳩山政権下、二〇〇九年十月に出された情報公開資料です。これは、そのときに防衛省がこの二〇〇七年アセスをほとんど情報公開しています、特別な種を除いて。これもノグチゲラの巣が除かれたり、あるいは一部の植物はないんですが、しかしそういうものは、この次のページを見てみますと、これが今日、鳩山政権の前もそうですけれども、今日、防衛省が私たちに提示する資料です。全てが白抜きされます。誰が、どういう植物がいるか、動物がいるかというのは一切ないんですね。

そういう意味では、私はやはり今回この大きな問題が、この改ざん問題もそうですけれども、あるということをまず指摘をして、質問につなげていきたいと思います。米軍との調整や米軍との協議は、それぞれいつ誰と誰が実施したものかということです。そのことについて先ほど来資料の提供を要求していますが、お答えください。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

この間の経緯をちょっと申し述べますと、北部訓練場の過半の返還につきましては、SACO最終報告を踏まえまして、平成十一年四月の段階で返還条件として、移設するヘリパッドの個数については七か所、規模は直径七十五メートルにするなどを日米合同委員会において合意をしておりました。

その後、平成十年十二月から平成十二年三月まで及び平成十四年十一月から平成十六年三月までに実施した環境調査、これは我々が、日本が行ったものですが、この結果などを踏まえまして、当時の防衛施設庁と在日米軍、在沖海兵隊との間で環境面、運用面から協議を行ったところでございます。

その結果、七つのヘリパッド全てを移設するのではなく、最低限の六つにとどめる。また、米側の要望を踏まえると、直径七十五メートルの大きさで土を掘り返し整地する必要があったところ、必要最小限の四十五メートルに縮小するなど、環境への影響を最小限にとどめるように計画を部分的に改めまして、平成十八年二月に日米合同委員会で再度合意したところでございます。この間におきまして、我々は、我々の行いました環境調査も踏まえまして米側と交渉したということでございます。

伊波洋一君

この調整や協議の際に、在日米軍がJEGSによって希少種の保護、個体保護だけではなくて生息域そのものの保護も義務付けられているということが日米双方にきちんと認識されていたのかどうか、伺います。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

JEGSは、在日米軍施設・区域における在日米軍の活動に関する環境管理基準として、日米関連法令のうちより厳しい基準を採択するとの基本的考え方を基に在日米軍により作成されているものと承知しております。このような考えに基づき作成されたJEGSに従い、在日米軍においては施設・区域の環境管理を適切に行っているものと考えております。御指摘の規定についても、当然のことながら、米軍において認識されているものと考えております。

防衛省としても、このJEGSの存在は承知しておるところでございますので、我々もこうしたことも認識して、先ほど申し上げましたように、我々の環境調査等のデータに基づいて米側と交渉してきたということでございます。

伊波洋一君

この五地区七か所の候補地については、いわゆる過年度調査では、動植物の種類、種数、それから希少な動植物の種数、やんばる固有の種数とともに、G地区には多くの希少種が生息し、選定の基本方針である「ノグチゲラなどの特に注目すべき種の重要な生息地の保全に最大限配慮を行う」ということにも反して、この特別天然記念物ノグチゲラがとりわけ多いところが選定されています。

皆さんの手元の資料、これには二十七の巣があるということも明らかにされ、これは巣は書かれていませんけれども、そもそも北部訓練場には四百のノグチゲラ、特別天然記念物がいると想定されていますが、二十七の巣に成鳥が二羽いて、ひなが二つかえれば百です。四分の一が集中しているエリアなんですね。そういうものは、実はこういう資料は全く出ていません。結局、それは全部防衛省の中で隠蔽されています。住民説明資料にも一切出されていません。公告縦覧でも全部外されています。そういう決定です。つまり、それは、どうして環境を守るような立場がそこから発想できるのか。つまり、そこが一番大きな問題です。要するに、規則はあっても日本政府としてそれを実行させようとはしない、そういうことが今日まで続いていると言うべきだと思います。

私は、そこで、この間何度も文化庁や環境省にも、議論しておりますが、前回、環境省は、まず現地米軍と関係当局の間で適切に処理される、その上で必要に応じて環境分科委員会の枠組みなどを活用して米軍と協議をすると答弁をしています。環境省に伺います。この自主アセス、防衛省から提供されていましたか。いつ、防衛省の誰から、環境省の誰に対して、どのような資料が提供されていましたか。

政府参考人(環境省 米谷仁君)

防衛省により自主的に行われた環境影響評価の資料である北部訓練場ヘリコプター着陸帯環境影響評価図書について申しますと、平成十九年二月に防衛施設庁米軍再編等工事計画チームから環境省自然環境局野生生物課に情報提供されています。

また、先ほどからお話に出ております「環境影響評価図書案のあらまし」につきましては、平成十八年一月に防衛施設庁から環境省自然環境局野生生物課に情報提供されていることを確認しております。

伊波洋一君

どのような資料が環境省に提出されていたかを、資料提供をお願いしたいと思います。委員長、取扱いをお願いします。

委員長(三宅伸吾君)

理事会にて協議いたします。

伊波洋一君

自主アセスが資料提供されていたのであれば、希少種の分布域であるとか、あるいは動物の行動範囲、とりわけ鳥類の飛行範囲など、黒塗りされていない元の資料が、提供していたのでしょうか。

政府参考人(環境省 米谷仁君)

情報提供をいただきました文書については、環境省に提供されました資料については、特に黒塗り等はございませんでした。

伊波洋一君

環境省の絶滅危惧種のセクション、具体的には自然環境局野生生物課など、絶滅危惧種保護の観点から、この環境省の環境分科委員会の代表である水・大気環境局に資料が共有されていますか。

政府参考人(環境省 米谷仁君)

その点につきましては、まだ確認ができていないというところでございます。

伊波洋一君

私が参議院に来るまで、環境省は、米軍基地内は日本の法令が適用されていないということを平気で答弁をしていました。米軍で、基地内で行われていることに対して、環境省としては何もできないんだということを平気で答弁をしていました。

しかし、そうじゃないんですね。実際は日米できちんと合意をされています。環境原則の共同発表やあるいはJEGSなど。そのことが実効的にはほとんど処理されていない、私はそのことを指摘をして、来週もありますけれども、この問題、一番大きな問題なんです。

これは全ての米軍基地に関わる問題で、日本の環境がほとんど米軍によって破壊されることを見過ごしているんですね。そんなことが許されていいはずはありません。そのことを指摘して、終わります。