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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2018年4月10日)

2018.1.22~7.22 第196回常会

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伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。お手元の配付資料のように、二〇一八年四月九日の沖縄タイムスで、名護市辺野古の国立沖縄工業高等専門学校の校舎等が米軍飛行場設置基準で定める約五十五メートルという、辺野古新基地の周辺に設定される制限表面、建造物の高さ制限に抵触しているということ、そしてまた、沖縄防衛局は高専側に説明していないということが報道されました。

四千億円もの予算をもう既に投じているこの新基地建設において、最低限の基準である制限表面すら守っていないということが明らかになりましたが、防衛大臣、お伺いします。報道は事実ですか。米軍飛行場設置基準違反のまま新たな飛行場を造るのですか。

防衛大臣(小野寺五典君)

普天間飛行場代替施設建設事業に関し、キャンプ・シュワブ周辺においては米軍の飛行場の運用に必要な高さ制限が設けられる予定です。そのため、沖縄工業高等専門学校については、現在までの米側との調整結果により、当該高さ制限の対象とはならず、米軍飛行場設置基準違反との御指摘には当たりません。

また、普天間飛行場代替施設の完成後における飛行経路については、離陸、着陸のいずれも周辺の集落上空を通過するのではなく、基本的に海上とすることで日米間で合意をしております。

いずれにしましても、防衛省としては、こうした米軍機の飛行に際しては安全の確保が大前提と認識しており、引き続き米側に対し安全面に最大限配慮するよう求めていくとともに、普天間飛行場代替施設の運用に当たっては、沖縄工業高等専門学校を始めとする関係者への説明等を通じ、普天間飛行場の移設に向けた御理解を得ていくよう努めてまいります。

伊波洋一君

防衛大臣、米軍飛行場設置基準を守らないとすれば、辺野古新基地飛行場の安全基準はどのように担保されるのですか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

ただいま大臣が答弁申し上げましたように、お尋ね、これは米軍の施設基準、この中で飛行場のヘリポートの計画と設計を規定するものもございます。これによる高さ制限の点だということでございますが、この統一施設基準においても規定を満たさないケースを想定した適用除外に関する規定もございます。

米側と調整を行った結果、沖縄工業高等専門学校はこの規定に基づき適用除外の対象としているということでございますので、高さ制限の対象とならないことは統一施設基準の中で沿ったものでありますので、当該基準に違反しているものではございません。

伊波洋一君

米軍側が適用除外するということは、米軍にとって必要な飛行場ならばそうするでしょう。しかし、ここで問うているのは、日本政府として、この辺野古新基地が本当に安全な飛行場であることをどのように日本政府として地域住民や国民に対して担保するのかと聞いているんです。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

大臣が先ほど御答弁申し上げましたが、普天間飛行場の代替施設の完成後における飛行経路につきましては、離陸、着陸のいずれも周辺の集落の上空を通過するのではなく、基本的に海上とすることで日米間で合意をしているところでございます。

また、いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、米軍機の飛行に際しては安全の確保が大前提と認識をしておりまして、引き続き米側に対し安全面に最大限配慮するよう求めていくとともに、代替施設の運用に当たっては、沖縄工業高等専門学校を始めとする関係者への説明等を通じまして、移設に向けた御理解を得ていくように努めてまいりたいと考えております。

伊波洋一君

米側に安全上の配慮を求めるというのはもう聞き飽きたぐらい何度も言われているんですね。しかし、それにもかかわらず、普天間第二小学校に窓枠が落ちたり、あるいは保育園に部品が落ちたりします。そしてまた、定められた飛行経路を飛行していないというのは常態なんですね。それを、今四千億円もう既に予算化し、そしてまたもっと多くのお金が使われる新たな飛行場においても同じようないわゆる米側頼みの安全基準をするというような説明に聞こえます。

そこで、質問しますが、政府は普天間飛行場の危険性除去の唯一の解決策が辺野古新基地建設と説明してきました。その辺野古新基地建設が、辺野古新基地が米軍の安全基準に違反しているなら、それは危険性の移設そのものではありませんか。

防衛大臣(小野寺五典君)

繰り返しになりますが、沖縄工業高等専門学校については、現在までの米側との調整結果により、当該高さ制限の対象とはならず、米軍飛行場設置基準に違反しているという御指摘には当たりません。

また、普天間飛行場代替施設の完成後における飛行経路については、離陸、着陸のいずれも周辺の集落の上空を通過するのではなく、基本的に海上とすることで日米で合意をしております。

私どもとしては、今後とも、飛行の安全をしっかり確保した上で、普天間飛行場の移設に向けた御理解をいただくようしっかり努めるとともに、辺野古移設に関しての事業を着実に進めていきたいと思っております。

伊波洋一君

資料の二枚目に普天間飛行場のマスタープランに係る資料がございます。政府は、米軍飛行場設置基準に違反し、特に一番危険なクリアゾーン内に普天間第二小学校や児童館、地区公民館が存在し、約三千六百名の市民が居住している危険な状況を一九九六年の全面返還合意からこれまで二十二年間放置し、今後も十年以上、合わせて三十年以上放置する方針です。

普天間飛行場の危険性除去の唯一の解決策としている辺野古新基地建設が、普天間同様に飛行場安全基準に違反するものとなることは、解決策ではないということが明らかです。

この説明をしますと、ここには滑走路の真ん前に塔も建っておりました。そもそも普天間飛行場は米軍飛行場ですから、日本の航空法上の適用にありません。これから造られる辺野古も同様です。あくまで米軍の運用に依存して安全性を保つという話にしか聞こえません。

まさに、なぜこれだけ大きなお金を使って造るのに、唯一の解決策と言っているものが危険なままなのか。このことについては引き続き追及をしてまいります。

次に質問を進めてまいります。河野大臣は、外務省として関係省庁と連携しつつ、二〇〇〇年の環境原則に関する共同発表及びJEGSに基づき、米側が環境保護及び安全への取組を適切に実施するよう働きかけると、政府として米軍に共同発表やJEGSを守らせる責任を確認しています。日本政府としても、在日米軍に共同発表やJEGSを守らせる責任があります。

2プラス2のもう一方である防衛省においても同じ認識に立っていただきたいと思いますが、大臣の見解を伺います。

防衛大臣(小野寺五典君)

日米間では、平成十二年に環境原則に関する共同発表を発出し、環境保護の重要性に言及するとともに、在日米軍は、日米の関係法令のうちより厳しい基準を選択するとの基本的考えの下に、日本環境管理基準、委員のおっしゃるJEGSを作成すること等を確認しております。米側によるJEGSに関する取組については、それを踏まえ、これまで継続して実施されてきていると承知をしております。

防衛省としても、関係省庁と連携しつつ、平成十二年の環境原則に関する共同発表及びJEGSに基づき、米国が環境保護及び安全への取組を適切に実施するよう機会を捉えて働きかけてまいりたいと考えております。

伊波洋一君

前回、地方協力局長は、米側には平成十七年十月に自主アセスのあらましを英訳した資料を渡したと答弁されていますが、どのような資料だったのか、具体的なアセスの調査結果、特に米軍が要望した候補地が希少生物種の生息域であることが伝わっていたのか明らかではありません。

JEGSによって米軍は希少生物種の生息域を保護しなければなりませんが、米軍が要望した候補地が希少種の生息域であり、工事による開発や訓練による運用が許されない地域であることが伝わっていないのではないでしょうか。

委員長、至急、米側に渡したという英訳した資料の提出をお取り計らいをお願いしたいと思います。

委員長(三宅伸吾君)

後刻理事会で協議いたします。

伊波洋一君

米軍が要望した候補地が米軍にとって運用が許されない希少種の生息域であることを米軍が認識していない疑いがあります。

自主アセスの移設箇所検討経緯の表では、米軍調整前の候補地について、N4については「地区全体としてみればヤンバル特有の種が多く、多様性に富んでいる」と。また、G地区については「他の地区に比べ比較的多く見られるヤンバル特有の種の保護と沿岸域における風衝影響に留意が必要。」と記載されています。

しかし、お手元に資料、三枚目の資料ですけれども、提示してありますが、米軍が、しかし、次の段階で、米軍選定候補地がN1二か所、N4二か所、G二か所、H地区一か所とされ、米軍の要望が伝えられると、一転して米軍選定候補地のとおりに米軍の運用上の要望として移設候補地として決定しています。特に、G地区については、「米軍から運用上、特に新規提供された水域における訓練も含め」「必ず必要との強い要望があった。」と書かれています。

自主アセスでは、貴重な動植物の生息地の適正な保護、保全が基本方針として掲げられています。私自身、どのような候補地を選定しても自然破壊につながり、建設そのものが問題だと考えますが、N2などは地区全体の自然度が低いとまで書かれており、より基本方針にかなう候補地があるにもかかわらず、米軍の要望が優先されています。

自主アセス二の五十九では、明記されていた米軍選定候補地、米軍が候補地の要望を提出するステップがあらましでは隠されており、あたかも米軍と調整、協議したように書かれています。最終の移設候補地は、この米軍選定候補地どおり、米軍の要望どおりに決定しており、余りに露骨で一般配布の説明資料であるあらましには書けなかったのではないでしょうか。

皆さん、お手元の資料をここに提示しましたが、ここに米軍の選定候補地というのがあります。突然出てきます。それで、ここだと言われて、その後はそれになっています。全てが米軍の要望によるという。しかし、前回委員会でも説明しましたように、あらましはあたかもそのようなことではなくて、様々な手続、基本方針に基づいて行ったかのように書かれてはいるんですね。

そのことについてお伺いします。この流れを見ても、せっかく自主アセスで環境調査をしたのに、環境保護の要請を無視して米軍の要望が割り込んできたのは明らかではありませんか。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

お答え申し上げます。前回も類似の御答弁申し上げたところでございますけれども、我々といたしましては、自主的に我々の方で行いました環境調査の結果などを踏まえまして、まず、その調査を行ったのは、平成十年十二月から平成十二年三月まで、そして平成十四年十一月から平成十六年三月まで、それぞれ環境調査を行ったことがございますが、こうした結果を踏まえまして、当時の防衛施設庁と在日米軍で調整を行いました。

まさに、委員御指摘の資料で選定候補地が挙がっておりますけれども、まさにこのちょうど矢印で示されている過程におきまして、我々といたしましては、協議を行いまして、七つのヘリパッドを全てを移設するのではなく六つにしたこと、あるいはヘリパッド自体の大きさを七十五メートルの大きさであったところを最小限度の四十五メートルに縮小するなど、そうした調整を行った上で最終候補地を決定したところでございます。

この間におきましては、私どもも環境に対する影響を最小限度にとどめるように米側と調整したところでございます。

伊波洋一君

基本方針は、ヤンバルの自然保護の観点から保全、保護すべき区域については極力新たな施設建設は避ける、あと一つは、ノグチゲラなど特に注目すべき種の重要な生息地の保全に最大限配慮を行う、この二つです。

前回、前委員会でも示したN1、N4、G、H地区の希少生息図には数々の多くの希少種がおりますけれども、どの地区でもノグチゲラが確認されています。中でもG地区は六十一か所、N1は二十二か所、N4は十七か所、Hは十六か所と、特にG地区は特別天然記念物ノグチゲラの重要な生息地です。しかし、米軍はそこを「必ず必要との強い要望」をしたと、このようにアセスは書いて、そしてそのとおり選定をいたしました。

まさにそれは、JEGSに書かれている生息地保護、米軍に課されている義務や、あるいは二〇〇〇年九月の共同発表に反しているのではないでしょうか。見解を求めます。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

ただいま希少生物の保護について御指摘があったところでございますが、御指摘の影響評価図書案のあらまし、これは前回も委員がお示しになった資料でもございますが、この中にも記述しておりますけれども、例えばノグチゲラにつきましては、人工営巣木、巣箱のようなものですが、こうしたものを設置するとか、人工採餌木、餌を取る、人工的に置いて餌を取れるようにするとか、そうした措置も講じておりますし、我々といたしましては環境への影響を最小限にするような工夫をいろいろ行っているところでございます。

JEGSも環境への配慮を行うという趣旨が書かれておりますが、我々といたしましてもそうした精神にのっとる形で、また米軍の必要性も勘案して、このような場所を決めたところでございます。

伊波洋一君

いや、米軍には生息地を保護しなさいと義務が付けられている。その義務を現地米軍は全く責任を放棄してこれを選択したというのがこの問題なんですね。

そこで、環境省にお伺いしますが、自然環境局野生生物課では絶滅危惧種保護の観点から自主アセスの検討をしましたか。また、それはいつでしょうか。

政府参考人(環境省 米谷仁君)

防衛省における自主的に行われた環境影響評価における環境影響評価図書案につきましては、事業者、この場合は防衛省でございますが、事業者から相談があった際に、自然環境保全の観点から事務レベルでの助言を行ったと承知しています。

その時期につきましては、環境影響評価図書案の公告縦覧を行う前の平成十七年に行ったものと承知しています。

伊波洋一君

野生生物課においてアセスを検討した際に、在日米軍のJEGSによって、希少種の個体保護だけでなく生息域そのものの保護が義務付けられているということが明確に意識されていましたか。

政府参考人(環境省 米谷仁君)

JEGSにつきまして、当時の野生生物課の担当者が意識をしていたかどうかということは承知をしておりません。

伊波洋一君

絶滅危惧種保護の観点から、重要な生息域が改変、破壊されようとしているとは考えませんでしたか。

政府参考人(環境省 米谷仁君)

沖縄県北部に位置するやんばる地域の自然環境保全の重要性は当時から認識をしており、その認識の上に立って事務レベルで技術的助言を行っていたものと考えております。

伊波洋一君

検討の結果、環境省の検討の結果を省内の他部局、他省庁に伝えましたか。

政府参考人(環境省 米谷仁君)

防衛省により自主的に行われました環境影響評価における環境影響評価図書につきましては、環境省内では必要に応じて環境影響評価に関係する課室に伝えていることは確認しておりますが、事務レベルでの助言につきましては他の部局に伝えたかどうかは確認できておりません。

また、一般的には、防衛省以外の他省庁に事務レベルでの助言内容を伝えることはないと思われるところでございます。

伊波洋一君

事務レベルの助言について提供できますか、資料として。委員長に求めましょう、提供を求めたいと思います。

委員長(三宅伸吾君)

理事会にて協議させていただきます。

伊波洋一君

工事の期間中は三月から六月まで営巣期間だということで、機械も止まります。でも、今はもう提供されていますから、米軍は訓練し放題です。

環境省、種の保存法上の絶滅危惧種に指定されたノグチゲラの繁殖、営巣期間は米軍の訓練停止を求めるべきではありませんか。

政府参考人(環境省 米谷仁君)

ヘリコプターの運用時におけるノグチゲラを始めとする鳥類への影響につきましては、北部訓練場ヘリコプター着陸帯の移設工事のために防衛省により自主的に行われました北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業の環境影響評価図書において、訓練がノグチゲラの生息や影響に重大な及ぼすおそれは小さいものと考えられると予測され、事業者の実行可能な範囲内で影響の低減が図られていると評価されたものと承知をしております。

伊波洋一君

アセスは、ヘリコプターに関して行われました。しかし、実際に運用しているのはオスプレイです。格段に違います。そういう意味では、引き続きこの問題は追及をしてまいりますけれども、環境省はこのアセスというものが実際は実態とは違うということをもう一度考え直す必要があることを提言をして、終わりたいと思います。