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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2020年4月16日)

2020.1.20~6.17第201回常会

伊波洋一君

ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。法案に関連して、普天間基地のPFOS漏出事故について伺います。
〔委員長退席、理事宇都隆史君着席〕
四月十日、沖縄県宜野湾市の米軍普天間基地から、有機フッ素化合物PFOSを含む消火剤が、ドラム缶千百三十五本分、二十二万リットルもの消火剤が大量に漏出し、うち七百十九本分、十四万リットル以上が排水溝を通して河川に流れ込み、配付の、皆さんにお手元の資料を出しておりますけれども、地元新聞報道のように、広く市内の住宅地や児童公園にまで有機物質を含む泡が飛散する事故が発生しました。

この二枚目以降の泡の写真などは翌日撮られているものでございます。それから三日後まで広く海岸の方にも残っていたということであります。日本政府として、今回の流出事故をどのように認識していますか。

政府参考人(防衛省 中村吉利君)

お答えを申し上げます。本件につきましては、十日、米側から、米海兵隊普天間飛行場の格納庫内の消火システムが作動し、PFOSを含む泡消火剤が放出をされた、速やかに泡消火剤の回収に当たっていたところ、一部が飛行場外に流出をしたという米側からの情報を受けまして、防衛省として関係自治体に対して直ちにお知らせをするとともに、職員を現地に派遣するなど対応に当たったところでございます。

その上で、政府といたしましては、今般の流出事故は住民の方々に不安を与える重大な事案と認識をしており、米側に対して直ちに厳重に抗議をするとともに、流出した泡消火剤の迅速な回収、事実関係の速やかな提供、原因究明と安全管理、再発防止策の徹底、これらを強く申し入れたところでございます。

さらに、政府といたしまして、普天間飛行場の内外の環境対策が実効的なものとなるよう、更に米側に環境補足協定に基づく立入りを強く求めており、現在、現地確認などの立入調査を直ちに実施すべく最終的な調整を行っているところでございます。

政府といたしましては、米側に対して流出原因などの事実関係の速やかな提供を求めており、米側からは原因究明のための調査チームを設置したとの説明を受けているところでございます。流出原因などの情報を米側から得られ次第、関係自治体に提供するなど、しっかり対応してまいる所存でございます。

伊波洋一君

二枚目の資料、このように泡が、これは翌日なんですね、翌日までこのような泡が地域を漂っている、こういう状況であります。
〔理事宇都隆史君退席、委員長着席〕
PFOSについて、日本環境管理基準でも規制されています。配付資料の二〇一五年の環境補足協定でも第三条で、合衆国は、自国の政策に従い、施設及び区域内における合衆国軍隊の活動に関する環境適合基準を定める確定した環境管理基準、JEGSを発出し、及び維持する。JEGSは、漏出の対応及び漏出の予防に関する規定を含む。合衆国は、当該環境適合基準についての政策を定める責任を負う。JEGSは、適用可能な合衆国の基準、日本の基準又は国際約束基準のうち最も保護的なものを一般的に採用する、と規定しています。最も保護的というのは、最も環境を保全するように、というふうに理解をしております。

環境省は、この事故に関する、流出した泡消火剤等への問合せにどのように回答しましたか。また、JEGSの中でPFOSはどのように規制されていますか。

政府参考人(環境省 小野洋君)

お答えいたします。まず、防衛省から普天間飛行場周辺の保育園や住宅のある地域に飛散した泡消火剤の安全性について問合せがございまして、環境省におきましては、まず専門家、化学物質のリスク管理に関する専門家に現地の映像も見せた上でアドバイスを求めました。その専門家の方々からは、住民の方々は泡等に触れないようにしていただくとともに、拭き取り等で回収した場合は汚染物を密閉保管してほしいこと、及び清掃作業を行って目視で残留物が認められないよう洗浄されていれば健康影響の観点からは問題ないと考えられるといったアドバイスをいただきまして、その旨防衛省の方に回答をしたところでございます。

また、JEGSについてでございますけれども、JEGSにはPFOSが有害物質リストに掲載されておりまして、その保管方法、廃棄手続、漏出等の対処要領等が定められており、在日米軍も当該基準に従い有害物質の管理を行っているものと承知しております。例えば、保管方法におきましては、有害物質の保管や取扱いは、ドラム缶や容器から漏出させてはならない、漏れ又は流出を回収するために、必要に応じて受皿、吸収材を容器の下に置く等々の規定がございます。

伊波洋一君

今JEGSでの説明もありましたが、JEGSでは「有害物質の取り扱い区域は、適切に管理される。」と、このようにされております。必要に応じて流出を回収するために、受皿、吸収材を置く。取扱区域は排水升、雨水の排水溝から離れた場所とする、と明確に規定されています。したがって、JEGSが守られていれば今回のような基地外へのドラム缶七百十九本分の泡消火剤の流出は起きないはずです。

防衛省は、米軍による普天間基地のPFOSを含む泡消火剤の管理の現状について、どのように把握していますか。

政府参考人(防衛省 中村吉利君)

お答え申し上げます。米側からは、普天間飛行場で保有するものも含め、在日米軍が保有している泡消火剤につきまして、二〇一六年以降は訓練を目的として使用しておらず、また、これらを厳格に管理するとともに、順次交換を進めている旨の説明を受けているところでございます。その上で、自衛隊、消防などの我が国の施設や在日米軍施設・区域内において、PFOSを含む製品の製造禁止等の規制が始まる前に製造された泡消火剤は、現在もなお火災など緊急時に使用するため消火設備に充填されたものや廃棄のため保管されているものが残っていると承知をしているところでございます。このため、防衛省としては、自衛隊が保有するPFOS含有泡消火剤の交換を加速をするとともに、米側に対しても早期の交換を求めてきたところでございます。

防衛省としては、このような大規模な流出事故が起こることがないよう、在日米軍の泡消火薬剤の交換ですとか今般の事案の再発防止策について、PFOSなどをめぐる問題全体に関して日米間で集中的に行っている検討の中でしっかりと議論をしてまいりたいと考えております。

伊波洋一君

配付資料の最後のページにあるとおり、米国防総省の格納庫に関する統一施設基準では、PFOSを含む泡消火剤は、AFFFといいますけど、の放出物が格納庫区画から自動的に地下拡散防止設備へ排出されるように導く、と規定されています。JEGSや米軍統一基準が普天間基地で守られていれば、今回のような外部への大量泡消火剤漏出事故が起きるわけはないわけです。これを見ても、今回の事故の重大性は明らかだと思います。

流出は今回だけではありません。配付資料の新聞記事にもございますけれども、嘉手納基地では二〇一三年十二月に二千二百七十リットル、二〇一七年八月に三百七十五リットル、二〇一五年には、その容量は明らかになっておりませんけれども民間地に流出しています。さらに、普天間飛行場でも二〇〇七年八月に七百五十七リットル、二〇一九年十二月にも、去年の十二月にも起きており、その漏出量はドラム缶の百九十本、三万八千リットルであったことが今朝の地元紙が報じています。

このような状況があるわけですけれども、防衛省はこれまでに、嘉手納や普天間基地のPFOS漏出事故について米軍から報告書を受け取っていますか。

政府参考人(防衛省 中村吉利君)

お答え申し上げます。防衛省といたしまして、これまで米側から嘉手納飛行場や普天間飛行場におけるPFOSを含む泡消火薬剤の流出事案に関する調査報告書を受け取ったことはございません。

その上で、今般の流出事故については、米側から原因究明のための調査チームを設置したとの説明を受けており、防衛省として流出原因等の詳細な情報を得次第、速やかに関係自治体に情報を提供してまいりたいと考えております。

伊波洋一君

事故は何年も前からずっとずっと起きているわけです。そのたびに今のような答弁をただ繰り返して、ただ米軍の報告を待つというだけではやっぱりおかしいんですね。度重ねて起きているこの泡消火剤流出事故の報告書を防衛省が求めていたら、今回のような排出事故は防止できたことではないかと思います。

今朝の地元紙の報道は、情報公開することによって得た調査報告書に基づくものです。事故のあった五〇七格納庫での漏出した泡消火剤についてですけれども、量は三万八千リットル、ドラム缶百九十本分ですが、洗浄水などを含めてその三倍から四倍の九万五千リットルから十一万四千リットルの汚染水が出ていますが、その汚染水は格納庫の地下タンクに保管されたと報告されています。しかし、それでも、当時雨で、幾つ分かが民間地に出たということが報告書の中にあるわけです。

そういう意味で、これまで嘉手納でも何回も、普天間でも何回も起きているのに、現実にそれが基地外に出ているにもかかわらず、一部はですね、防衛省としてこのことに無関心であると言わざるを得ません。そういう意味では、今回立入りを求めるわけですけれども、同時にやっぱり報告書を求めていかなきゃいけないでしょう。

宜野湾市も今沖縄県も、基地への立入調査を求めています。環境補足協定に基づいて、河野大臣が十四日の会見で基地内立入りを求めるということを表明いたしましたが、改めて河野大臣にこの立入りについての見解をお伺いしたいと思います。

防衛大臣(河野太郎君)

今回の事故は、住民の方々に大変な不安を与える重大な事案というふうに認識をしております。補足協定に基づく立入りを米側に求めているところでございまして、立入りを実施するべく最終的な調整が行われているというふうに認識をしております。

伊波洋一君

二〇一五年の環境補足協定は、日米が合意した環境原則に関する共同発表と、在日米軍が守ることを義務付けられている日本環境管理基準、JEGSを実行するというものです。しかし、補足協定から五年たつのに、一度としてその補足協定が目指す環境の問題としての立入りは行われていません。さらに、JEGSは一九九六年から在日米軍に適用されています。もう二十四年目です。

環境原則の共同発表も、二〇〇〇年にニューヨークで2プラス2合意で発表されました。この発表は、米国議会に対して在日米軍が、日本でも在日米軍は環境を守るという米国議会の要請、この立法によって行われたこのJEGS、環境管理基準、これを守っているんだということを公にするセレモニーみたいなものなんです。でも、実際は日本では何も守られていない。あれから二十年、ずっと守られないまま、そのまま放置されているのが今の現状です。

ですから、今回の重大事故は、やはり防衛省や外務省に対して大きな猛省を求めていると思います。実際は、条約等で合意しているにもかかわらず、守らし切れない日本政府がいる。あるいは守らそうとしない日本政府がいる、そのことがやはり今このような事故を起こしているわけです。これは、これだけのことではないんです。もろもろに関してJEGSは規定していますが、その一つとして日本政府のアクションで守らせようとはしていない、このことがやはり一番問題です。

私は、今回の河野大臣が立入りをするということ、これはやはり一つの一歩だと思います。しかし、この立入りも含めて、対米との交渉の窓口は外務省です。外務省こそ、私たちの国のありように、アメリカに対するありようを、やはり基本的なスタンスとしてつくっていかなきゃいけないだろうと思います。この立入りについて、外務大臣の見解をお伺いしたいと思います。

外務大臣(茂木敏充君)

政府として、今般の流出事故は住民の方々に不安を与える重大な事案と認識をいたしております。

本件事案への対応に当たっては、環境補足協定に基づく立入調査を米側に強く求めており、最終的な調整を行っているところだと承知をいたしております。

伊波洋一君

米軍自身はJEGSを守る義務があるんです。でも、だから、米軍が、情報公開等で明らかになって、そのことが明らかになると守らなきゃならなくなる。でも、日本政府がそれをし切れていない、現場にも行こうとしていない。

だから、是非、今回は何としても実現をして、これ、米軍と相談するからおかしいんですよ。米軍じゃないんです、米国と相談をしていただかなきゃいけない。米国と相談して日米両政府で合意したことなんですから、そのことをやはり通して日本の基地周辺の安全を守っていただきたいと思います。これは是非実現をしていただきたいと思います。

次に、辺野古新基地問題でお話をしたいと思いますけれども、今辺野古ではずっとずっと工事が進んでいます。今、そのために防衛省から、あるいは沖縄防衛局から東京に出たりして、延べ先月で二十二回出入りがあり、十四名の方ですけれども。今、玉城デニー知事はコロナ対策として来県自粛要請をしています。防衛省職員がやはり辺野古工事のために沖縄に入るというのも、やはり県民の理解を得られるはずはありません。

と同時に、これまでずっとずっとゲート前で抗議の要請をしてきたオール沖縄会議などの皆さんは、昨年の県民投票で示した沖縄県民七二%のこの辺野古新基地に反対する意思、これをずっと抗議の形で示しておりますが、この辺野古において、四月十五日から五月六日まで、やはり今の日本のコロナウイルス対策の徹底をやはり協力していきながら、自らも安全を守るために、辺野古ゲート前行動などを停止することを決定いたしました。沖縄防衛局は、しかしながら、今改めて工事を加速しています。

政府が民間企業に七割の出勤停止を求める中で、辺野古工事を加速するということはやはりおかしいんです。私はやはり、在日米軍司令部まで、今、関東だけじゃなくて全日本にこの公衆衛生上の非常事態を対象として宣言をしました。この際、沖縄防衛局に対して、やはり防衛省としても、この辺野古新基地建設などの工事の実施を一旦止めて、そして、県民とともにやはりコロナウイルス対策に参加をしていくと、そういうことを決断していただきたいんですけれども、防衛大臣、辺野古新基地建設の工事を停止すべきではありませんか。

防衛大臣(河野太郎君)

 防衛省といたしましては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向け、直轄工事や業務において、受注者の意向を踏まえ、一時中止や工期の延長等の措置を講じることとしております。普天間飛行場の辺野古移設に向けた工事についても、一時中止の要否を判断するための一助として、この工事の受注者の意向を確認いたしましたが、一時中止の意向は示されておりません。

防衛省としては、新型コロナウイルスへの対応について今後とも米側としっかり連携し、工事関係者の感染拡大防止、健康管理に留意しながら、工事を着実に進めてまいりたいと考えております。

伊波洋一君

もう時間参りましたけれども、政府として意思を示すこと、これが大事だと思います。対米の調査もそうです。ですから、私が求めているのは、政府としての意思を示していただきたいということであります。以上で終わります。