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国政報告 / 議事録

行政監視委員会国と地方の行政の役割分担に関する小委員会(2020年4月13日)

2020.1.20~6.17第201回常会

伊波洋一君

ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。さきの委員会に引き続き、新型コロナウイルス対策における国と地方の役割分担について伺います。

沖縄県での新型コロナウイルス感染拡大を受けて、那覇市医師会は四月九日に那覇市医療の緊急事態宣言を発表しました。お手元配付の資料にございます。特に、マスクや防護服がなくなれば治療ができなくなる、マスクはあと十日分しかないと窮状を訴えています。

現在、厚労省を中心とするマスクチームが、本省備蓄分の放出、第一弾から第三弾までの一括購入の配布など、計四回にわたって都道府県に医療機関向けのサージカルマスクを届けていますが、どのような実績でしょうか。また、補正予算では、医療機関向けのマスクの優先配布はどのように行われるのでしょうか。

政府参考人(厚生労働省 迫井正深君)

御答弁申し上げます。医療機関向けのマスクにつきましては、これまでメーカーへの増産をお願いをいたしました。それから、輸入の拡大などによりまして、国として三千万枚のマスクを確保いたしまして医療機関等に配布を行っているところでございますけれども、このような中、今週中、追加で一千五百万枚の配布を予定をいたしてございます。

これらのマスクの購入及び配布に係る費用につきましては、令和元年度のこれ予備費といたしまして計上をいたしております。納品後の検査の完了日が年度をまたいで四月になる予算につきましては、繰越手続による会計処理を行っているところでございます。

伊波洋一君

医療機関向けマスクの費用は、これまでのところ、前年度の予備費で約百四十四億円。一方で、全世帯への布製マスクの配布は補正予算で二百三十三億円、加えて今年度予備費で二百三十三億円、トータルで四百六十六億円の支出が予定され、既に予備費で発注されているようです。布製マスクの配布には四百六十六億円も掛かるということですが、間違いありませんね。

政府参考人(厚生労働省 迫井正深君)

御答弁申し上げます。全世帯への布製マスクの配布事業について、先月より、これは三月の下旬から四月の上旬ということでございますけれども、全国の介護施設等に優先的に配布を行うとともに、今月以降も全国の小中校、高等学校や妊婦の方々に優先配布を行うということといたしております。

そのような中で、来月にかけて、これは四月から五月にかけてということでございますけれども、更に一億枚程度の布製マスクの確保の見通しが立ったことから、国内感染防止、拡大防止のため、極力多くの方にマスクを着用いただくこと、それから二点目としては、店頭におけるマスクの品薄状態が続いておりますので、このような中、国民の皆様の不安を解消することといった政策的な目標、目的で、全世帯向けに、一住所当たり二枚ずつの配布を行うこととしたものでございます。

なお、予算の額についてお尋ねございましたけれども、マスクの単価につきましては、介護施設等への配布の際の実績、これは加重平均の実績でございますけれども、ここから算出をいたしましたこれ一枚二百六十円、そして配布先につきましては、日本郵便による配布先の箇所数の見込みでございます六千五百万か所を勘案をいたしまして積算をいたしまして、総額四百六十六億円というふうにしたところでございます。

伊波洋一君

家庭でも簡単に作ることができる布製マスク配布を四百六十六億円も掛けて行うことに多くの疑問が寄せられています。

先ほど、那覇市医療の緊急事態宣言にもあるとおり、一番大事な医療現場にはマスクが十分に届いていない状況です。全国で重大な院内感染が発生しています。緊急に必要とされる医療用マスクなどより一億三千万枚の布製マスクを優先して四百六十六億円を支払うのは、理解が得られるはずありません。

新型インフル特措法に基づいて策定された新型インフルエンザ対応中央省庁業務継続ガイドラインでは、「新型インフルエンザ発生時に職場で使用するマスクとしては、不織布製マスクの使用が推奨される。」と規定しています。また、「来訪者には、必要に応じ、マスク着用を促す。」ことや、執務室内で家庭用不織布製マスクの着用が求められています。不織布製マスクは家庭用と医療用に分類されるが、新型インフルエンザ流行時の日常生活における使用においては家庭用と医療用はほぼ同様の効果があると考えられると中央省庁業務継続ガイドラインにも記載されています。

一方、布製マスクにはウイルスを防御する機能はないとされています。日本医師会の横倉会長も、四月三日に、ウイルス防止の役割は余りないと指摘しています。さらに、三月五日に、某企業が国からの要請で三月に千五百万枚、四月から五千万枚規模でガーゼマスクの国内への供給をプレスリリースしており、私は、今回の布製マスクは目の粗いガーゼマスクと思っています。新型コロナ対策本部の見解として、この布製マスクは中央省庁でも使えるんですか。

政府参考人(厚生労働省 迫井正深君)

御答弁申し上げます。

布製マスクに関するその意義とかあるいは活用の方法についてのお尋ねと理解いたしておりますけれども、これ、WHOのガイドラインにおきまして、医療現場等での使用の際の留意点を示す中で、布、これは綿とか、先ほど議員おっしゃいましたが、ガーゼのマスクの使用は必ずしも推奨はしないというふうな見解が示されていますけれども、その一方で、布のマスクに関しまして、四月三日のWHOプレスブリーフィング等におきまして、感染している人がマスクを付けることにより他者へうつす確率を低減できるかもしれないと。それから、自家製マスク、それから布のマスクをコミュニティー、これは一般の家庭とか地域という意味だと思いますけれども、使用することにつきましては、新型コロナウイルス感染症へのこれは包括的な対応を助けることになるかもしれないという事務局のコメントがあったというふうに承知をいたしております。

したがいまして、様々な観点でマスクの使用についてはその意義とか効果については議論すべきだとは考えますけれども、こういった布製のあるいはガーゼを活用したマスクについても一定の意義があるものというふうに承知をいたしております。

伊波洋一君

今国が配布しようとしているのは、ウイルス、感染している人ではないんです。特に弱い人たちにやっている。

特に指摘したいのは、先ほど説明もありましたが、四月七日の新型コロナウイルス感染症緊急経済対策についての閣議決定です。その中で、Ⅰ、感染拡大防止策として、また、Ⅰ、一、マスク、消毒液等の確保で、「布製マスクについては、政府による買上げにより、介護施設利用者等及び妊婦に対して、順次、必要な枚数を配布するとともに、全国の小学校・中学校・高等学校・特別支援学校・高等専修学校等の児童・生徒及び教職員に対して、四月以降、一人二枚配布する。加えて、全国で五千万余りの世帯全てを対象に一住所当たり二枚配布する。」としていることです。

この閣議決定の目的は、介護施設利用の高齢者や妊婦及び児童生徒を新型コロナウイルスから守るためだと思いますが、布製マスクにはウイルスから身を守る機能はなく、妊婦や介護施設利用者や児童生徒が不織布製マスクではなく政府配布のガーゼマスクを使用することは、ウイルスが存在する場合にはウイルス感染の可能性を高めることになります。

中央省庁で使わないような布製マスクの配布を全世帯や妊婦、介護施設利用者、児童に行うことを撤回して、不織布製マスクの配布にすべきではありませんか。

政府参考人(厚生労働省 迫井正深君)

御答弁申し上げます。先ほども御答弁申し上げましたが、繰り返しの答弁も一部にあるかもしれません。

布製のマスク、これはガーゼも含みますけれども、コミュニティーの使用において一定の包括的な対応を助けることになるかもしれないというWHOのコメントございます。この意味は、マスクは、実際問題、必ずしも十分に供給あるいは使用できていない環境の中で、布製のマスクでありましても、そういったものを活用することで、例えば感染者についてはそういった感染の飛沫とか、あるいは接触に係るリスクを低減する効果も一定程度は認められるということでございます。

おっしゃるとおり、医療の現場あるいはその罹患をするという意味での意義は必ずしも十分ではないかもしれませんけれども、コミュニティーという意味、すなわち一般社会とか生活において布製マスクを使うことは包括的な対応を助けることになるかもしれないという意義については、基本的には私たちとしても十分認識をすべきではないかというふうに考えております。

伊波洋一君

まとめます。今、ここらのマスクもみんな不織布製マスクですね。これが基準なんです。そういう中で、かもしれないというようなことで四百六十六億円も掛けてやるよりも、どうしてそういうマスクを入手しないんですか。医療現場にしっかり入手していくことこそが厚生労働省の役割じゃないかということを指摘して、終わりたいと思います。